« 食われた紙の辞書 | Main | いついけるのやら »

2004.03.28

回転ドアの恐怖 その3

「安全対策が不十分」専門家ら指摘 回転ドア事故 - asahi.com : 社会

今回の事故原因と思われる装置の不備、挟み込みのセンサーが高さ80cm以下に不感帯があったことが、たぶん、去年起こった同様の少女の事故調査のときにメーカーからビル管理会社にすでに知らされていたという話がでてきた。

この危険防止のためのセンサーといってるのは、たぶん赤外線反射形のセンサーを用いて天井から照射、反射の有り無しをみるものが付いていたのだろう。

一応、僕も装置のロボトロニクスの真似事のようなファームウェアを何本も書いてたりするファーム屋の端くれなのでこの赤外線反射形センサーのいい加減さはよく知っている。(- -; そしてなるべく使わずに済ませたいと考えてるセンサーの1つだったりする。

高さが2m以上ある天井部分から見下ろすようについている。地面を検知してしまい何かものがあると誤動作してはならないから、ある程度の高さまでしか検知できない。また、屋外であるから赤外線はたっぷり乱反射しており、ノイズ成分たっぷりだ。この装置の場合は、誤動作しない検知高さ設定が80cmまでだったのだろう。
これが貫通遮蔽形、つまり天井に発光器、床に受光器を置くようなセンサーであれば、不感帯はなくなるけど、床はみんなが踏み歩くところであるので、すぐ汚れてしまい誤動作することになるので使えなかったのだろう。
そのため、足らない部分を横に同じように短距離のこれまた赤外線反射形センサーを付けてるようだ。が、高さ15cmのところに1個だけつけているだけとある。80cmから15cmの65cmの幅が不感帯と報道しているが、検知幅は扇状に広がるので、センサー近くの高さ15cm以下の部分も不感帯になる。床面ギリギリに足先をつっこんだら、きっと同様に噛み切られることになるはずだ。

不感帯がどこにあるのか。これがよく判らないのが赤外線センサーの厄介なところだ。なにせ、赤外線は「見えない」のだ。

これ、ほんと、赤外線センサーを使った設計をやってると困る最大のポイント。
思わぬところから乱反射があって誤動作したり、構造物が動いたとき想定外の影ができて届いてなかったり、LEDの経年変化やレンズの汚れで光量が減ってノイズに弱くなってたり、これが屋外だとさらに天候やら埃やら外乱光源があったりというのが、トラブル事象が起こるまで「見えない」のだ。

貫通遮蔽感知をするタイプなら、乱反射さえ気をつければ、そのビームの通り道を考えれば(想像すれば)いいのでまだ容易であるけれど、反射形はホントわからない。泣きたくなるほどわからない。どこから反射してきたのか、どこの部分は反射しないのか。反射させる角度やテカテカ度、ようはレーダーと同じに仕組みなので、物体のステルス度よっては戻ってこなくなるから、センスできないことがよくあるのだ。だから、メカ屋は取り付け位置の制約やメカニカルな故障が少なくて済むものだから有無センサーに反射形を取り付けたがるが、ファーム屋の僕らは使用を大反対し、できるだけ接触型か貫通透過の遮断センサーに変えてくれと懇願することとなるのだ。
今回はセンスしなきゃいけないのは不特定な人間や物だ。となるとますます不確定要素が多くてまともに動かすのは容易ではなくなる。たとえば、同じ位置にテカテカ禿げ頭を突っ込まれた場合と園児がフェルト帽をかぶった頭を突っ込まれた場合の反応は全然違う。条件が重なるとフェルト帽は検知できんかもしれない。
検知し切れなかった場合に備えて接触センサーも仕切り板につけていたとは思うけど、接触したことを検知してから挟み込むまでに止まれる余裕のあるところ、つまり25cm以上余裕のある接触センサーはどう見てもつけてないわけだから、無茶な構造だったとしか思えない。はっきりいって、このセンサーだけに緊急停止を頼っていたとすると、80cm以下の物体を噛み切ってしまうことになる、特に対子どもに対しては、完全に設計ミスだろう。

この点が前回の少女の事故のときにわかったために、不感帯に入ってこないように簡易の柵をしたようだが、柵があったら子どもはくぐる(^^;のでさらに危険になるというのに気がついていなかった、子どもの視点を想像しなかったというのが、悲劇の直接的原因だったと僕は考えている。

|

« 食われた紙の辞書 | Main | いついけるのやら »

ニュース」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/10432/360942

Listed below are links to weblogs that reference 回転ドアの恐怖 その3:

» 回転ドアの死角(その2) [夜明けが来る前に]
TVのニュースでも報道されていたが、 惨事があった回転ドアの製造販売元の会見を産經新聞の記事で参照しておく。子供が急に進入した場合の安全設計は想定していなかっ... [Read More]

Tracked on 2004.03.29 at 01:41

« 食われた紙の辞書 | Main | いついけるのやら »